12号「やすらぎ」

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シニアかわら版12号
シニアかわら版12号(2010年2・3月)

 

田無神社宮司で精神科医の賀陽濟氏が1面でやすらぎを語ります。(2面)(3面)は編集委員が感じるやすらぎです。

・先が見えない現代社会こそ「やすらぎ」が大切です(1面)

 「やすらぎ」が大切とよくいわれています。 とりわけ、シニアになったら「やすらぎ」たいものです。「やすらぎ」は心の癒やしになりますし、身体の癒やしにもなります。

 結果として、活力も生み出します。もっと言えば、「ああ、生きていてよかったな」と、自然に感じられるようにもなるのです。 

でも、心からやすらぐのはなかなか難しい。もし、やすらげているなと感じているのなら、あなたの心は健康ですね。普通は、そうはいかないのです。なぜでしょう。

 

仕事人間、企業戦士で、「やすらぐことは罪悪だ」と思っている方がいます。 

「何の趣味もないのでやすらげない」という方もいます。そうしたケースはさほど深刻ではありません。 

「やすらぐことは罪悪だ」と思っている方は、趣味と実益を兼ねた家庭菜園などに没頭してみてください。 実益、実利があがることで、罪悪感が少し和らぎます。ポイントは、自然と触れ合うことです。いずれ、自然があなたの罪悪感を緩め、癒やしてくれるでしょう。 

「何の趣味もない」といわれる方は、まずは家でごろごろしていてください。無理に「何かをしよう」と思わないでください。 

心が健康ならば、いずれ飽きてきます。「飽きる」というのは健康な心の働きでもあるのです。飽きたときがチャンスです。外に出ましょう。歩いてみましょう。 そのときのポイントは無理をしないことと、「いくらか気持ちがよいかどうか」です。ほどよく身体を動かすことで、心は動いてきます。 ましてや、いくらかでも気持ちがよければ、それまで眠っていた好奇心が目を覚ましてきます。そうなれば、あとは無理せず好奇心を満たしてゆくだけです。 

 

ゴルフ、テニス、将棋、碁など具体的で、分かりやすいものだけが趣味ではありません。好奇心がそこそこ満たされ、気持ちが少しでもよければ、それがあなたの趣味です。 散歩でも、おしゃべりでも、何でもかまいません。すると、自然に心が癒やされ、生きがいも生まれてくるのです。 

ちょっと難しいのは、根っから心が安らげない場合です。そうした方の心の背景には、余分な不安、罪悪感、傷ついた自尊心があることが多いのです。 心身の病が隠れていることもあります。そのような場合は、心の専門医や、身体の専門医、あるいは各種の信頼できる相談機関を訪ねてみてください。

 

先が見えない現代社会で「やすらぐ」ことは、実のところ難しい。でも、こういう社会であるからこそ、「やすらぎ」が大切なのです。 繰り返しになりますが、「やすらぎ」が心身を癒やし、生きがいを生むのです。そして、結果として、心と身体に活力をもたらすのです。

 


・あなたにとって”やすらぎ”とは(2面)(3面)
・トンボのめがね、現代に伝える語り部(4面)

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